NPO法人は儲かるのか？噂の真相と運営のコツを徹底解説

NPO法人の収益について

NPO（Non-Profit Organization)法人は非営利を目的とした法人ですが、「利益を出してはいけない」という法的規定はありません。

ただし、利益が出た場合は、NPO法人の本来の目的である公益目的事業のために使用しなければなりません。

利益が発生したからといって、メンバー（社員・役員）に利益を分配することは厳しく制限されています。

税制面でいうと、NPO法人は「法人税法上の公益法人」として優遇措置が設けられています。

具体的には「寄付金の全額損金算入や利子・配当などを課税対象外」とする配慮がなされています。

しかし、収益事業比率が20%を超えると公益法人の税制優遇を受けられなくなるので、収益性の高い事業には制限があるのが実情です。

つまりNPO法人は利益を生み出すこと自体は可能ですが、公益目的の事業のために再投資しなければならず、参加メンバーへの分配が制限されるなど、非営利性が強く求められる法人形態といえます。

NPO法人が利益を上げる方法は以下の通りです。

ひとつひとつ見ていきましょう！

寄付金

NPO法人にとって寄付金は大きな財源の一つです。

個人や企業からの寄付は、NPO法人の活動に対する理解と支援の表れであり、貴重な財源となります。

寄付者には税制上の優遇措置もあるので、寄付募集の働きかけを積極的に行うことが重要です。

クラウドファンディングも寄付金を募る手段として注目されています。

助成金や補助金などの公的支援

政府や自治体の助成金・補助金は、NPOの公益的活動を支える上で欠かせない財源です。

活動内容に応じて、環境省や厚生労働省などの国の補助金を受けることができます。

また、都道府県や市区町村が地域課題解決のために助成事業を行っている場合もあるので、自治体との連携して、こうした補助金を受け取ることもできます。

助成金や補助金には、使い道が限られているものもあります。

サービス料・商品販売

NPO法人は、公益目的事業の付随的な業務として、サービスの提供や商品の販売による収入を得ることができます。

障害者支援NPOの就労支援事業の収入などがこれに該当します。

収益性の高い事業には一定の制限があるものの、適正な範囲で実施することが可能です。

例えば、障害者自立支援NPOが運営するカフェでは、利用者が料理や製菓の実習を積むことができ、その成果物を販売することで就労訓練と収入を両立させています。

また、高齢者や子育て世帯を支援するNPOが提供する託児サービスや配食サービスも、サービスの対価としての料金を得る方法の一つです。

適正な利益率を設定し、妥当な料金設定を行うことがポイントとなります。

イベント収入

チャリティコンサートやフリーマーケット、講演会などのイベントを開催することで参加費や出店料などの収入を得る方法もあります。

企業スポンサーをつけるなど工夫することで、イベントを通じた資金調達効果を高めることができます。

例えば、子どもの貧困対策NPOが開催するチャリティコンサートでは、有名アーティストの協力や著名人の啓発メッセージを入れることで集客力とインパクトを高めることができます。

また、地域交流イベントとしてフリーマーケットを定期的に開催することで、地域住民の協力を得やすくなります。

参加者からの出店料収入と寄付金収入の両面を目指すことが重要といえます。

会費収入

NPO法人の場合、会員からの会費が重要な運営資金の一つとなります。

会員数を増やすことで会費収入を伸ばすことができます。

会員向けのサービス提供や情報発信を充実させることで、会員の満足度と加入動機を高めることがポイントになります。

会費の金額設定も重要で、支援者の負担感と活動継続のバランスを考える必要があります。

NPOの収入源はこれらの要素から成り立っており、さまざまな収入源を組み合わせることで、持続的な運営が可能となります。

ただし、NPO法人は営利企業ではないため、厳格な会計処理や公正な運用が求められます。

NPO法人の利益の使い道

活動費用に充てる

NPO法人が上げた利益の使い道として最も重視されるのは、現在の活動を継続・安定化させるための費用に充てることです。

人件費をはじめ、事務所費や通信費、事業遂行に必要な資材購入費などの活動経費は、寄付や補助金だけでは賄いきれないのが実情です。

このため、自主財源の確保として利益を活用する意義は大きいといえます。

ただし、利益が活動から乖離した高額報酬や特典に流用されることのないよう、適正な会計処理と情報開示が不可欠です。

事業拡大・改善のための投資に充てる

NPO法人にとって、単に現状の活動を継続するだけでなく、事業の質的向上と量的拡大が常に求められます。

そのためには、新たな設備投資やマネジメント強化、研修や採用による人材育成、調査研究など将来的発展の基盤整備が欠かせません。

これらの投資的支出に利益を充てることは、組織の持続的成長につながる有効な使途といえるでしょう。

例えば、障害者自立支援NPOが行う職業訓練事業のために、より実践的な訓練環境を整える必要が出てきた場合、設備投資の財源に利益を充てることが考えられます。

人材育成では、管理職向けの研修プログラムを実施するために、社外の専門家を招聘するにはある程度の費用が必要となり、このような人件費にも有効活用できるでしょう。

成果の評価と報告のために使う

NPOには、活動の成果と課題を明確に示すことで、社会的信頼を高める責務があります。

利益の一部を、事業報告書の作成や第三者評価の受審などに充てることは、NPOの透明性とアカウンタビリティ(説明責任)向上に資する使い方といえます。

ただし、必要最低限の支出にとどめ、評価結果を事業改善に確実に反映させることが重要です。

このように、NPO法人の利益は、活動経費の捻出や事業拡大の投資、そして成果評価と報告に充てることができます。

ただし、適正な会計処理と情報開示が前提となりますので注意しましょう。

NPO法人が利益を上げるにはどうしたらいい？

NPO法人（Non-Profit Organization）は、一般的には利益を追求する企業とは異なり、社会的使命を果たすために活動する組織です。

しかし、活動費用や質の高い人材の確保などのために、NPO法人も一定の収益を上げる必要があります。

では、NPO法人が利益を上げるためにはどのような戦略をとるべきでしょうか。

寄付金を増やす

個人や企業からの寄付はNPOにとって大切な財源です。

ウェブサイトやSNSを活用した情報発信、イベントでの呼びかけなどを通じて支援者の拡大を図ることが重要です。

例えば、子育て支援NPOは保護者向けのメールマガジンで活動報告とともに定期的な寄付のお願いを載せる等の工夫が考えられます。

寄付者への特典や特別なお礼メッセージなども効果的です。

助成金・補助金を増やす

行政の助成金や補助金はNPOにとって有益な公的資金源です。

国や自治体の補助事業の情報を収集するとともに、申請書類の作成・提出に注力することが必要不可欠です。

障害者支援NPOの場合、厚生労働省の補助金を活用して就労支援事業の充実を図ることができるでしょう。

助成金や補助金のまとめサイトを活用して、自分の事業に合った補助金が交付されていないか、定期的にチェックしましょう。

佐野

助成金・補助金をうまく活用しましょう！

事業からの収益をふやす

NPO法人に認められた収益事業からの収入を適正に確保する方法もあります。

例えば、高齢者支援NPOが提供する配食サービスを充実させることで利用者を増やし、収入の増加につなげることができると期待できます。

サービスのPRを徹底し、口コミ効果も生み出すことで、安定的な収入源を確保できる可能性があります。

クラウドファンディングを活用する

NPO法人を持続的に運営していくために必要なこと

NPO法人として社会的なインパクトを生み出すためには、長期的に活動を続けることが必要です。

持続可能な経営を行うためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

以下に、NPO法人の持続可能な経営を実現するための4つの要素を紹介します。

リスクを管理し、備える

NPO法人は、主に寄付や助成金、会費などの収入源で運営されます。

しかし、これらの収入源は不安定である場合があります。

そのため、NPO法人は収入を確保するために、リスク管理と予測の能力を持つ必要があります。

資金の枯渇や支援の減少などのリスクに備えて、予備資金や多様な収入源の確保などを考える必要があります。

また、将来のニーズや社会の変化を予測し、組織の方向性を決めることも必要です。

社会課題の変化やニーズの変動に敏感であり、戦略的な計画を立てることがポイントになります。

パートナーシップと協力関係の構築

NPO法人は単独で社会課題を解決することは難しい場合があります。

そのため、他の組織や企業とのパートナーシップや協力関係の構築が重要です。

パートナーシップとは、異なる組織や企業が共通の目的のために協力し合うことです。

NPO法人は、他の組織や企業と連携することで、より効果的な活動を行うことができます。

例えば、企業からの助成金やボランティアの協力、提携プログラムの実施などがあります。

協力関係の構築することで、持続可能な経営に不可欠です。

他の組織や企業と連携することで、情報やノウハウの共有、組織の強化などにつながることがありますし、人材の確保にもつながります。

ぜひ積極的にパートナーシップを築きましょう。

NPOの意思決定と業務執行のプロセスを明確化し、透明性とアカウンタビリティーを高めるガバナンス体制が必要です。

適切な人材の陣容と役割分担、チェック機能の確立が欠かせません。

理事会と職員の役割分担を明確にし、相互の監視・牽制機能を高めることが重要です。

以上のように、NPO法人の持続可能な経営を実現するためには、リスク管理と予測能力の向上、パートナーシップと協力関係の構築、財務管理の強化やガバナンスの整備が欠かせません。

これらの要素を活用しながら、社会貢献活動を継続していくことが重要です。

NPO法人のメリット・デメリット

NPO法人は社会問題の解決や地域の活性化などの社会貢献活動ができるという大きなメリットがありますが、運営面では様々なデメリットも存在します。

ここからは、NPO法人のメリット・デメリットをご紹介します。

NPO法人のデメリット

NPO法人のデメリットとしては、継続して運営するのが難しいことが挙げられるでしょう。

また設立にも一定の規制がかかっています。

法的な制約きちんと理解しよう

NPO法人は、特定非営利活動促進法に基づいて設立されるため、法的な制約があります。

例えば、収益の使用に関する制限や適切な財務管理の必要性などがあります。

これらの制約を適切に理解し、対策を講じることが重要です。

具体的な対策としては、専門家の助言を受けることや経理・財務のスキルを高めることが挙げられます。

また、助成金や補助金の活用も有効な手段です。

組織の効率化と活動の最適化をはかろう

NPO法人は、人材や資金に限りがあり、効率的に活動を行う必要があります。

組織の効率化や活動の最適化を図るためには、以下の対策が有効です。

NPO法人は、地域課題の解決や社会貢献活動を行う重要な存在です。

これらの課題を適切に解決することで、より効果的な社会貢献が実現できるでしょう。

成功している他のNPOから学ぼう

NPO法人は一般的には非営利団体と考えられますが、先述したように、継続的な運営のために収益をあげることが推奨されています。

ここでは、成功しているNPO法人の事例を紹介し、継続的に運営するためのコツをご紹介します。

これらの成功事例から、NPO法人が収益を上げるためには以下のような点に気をつけるべきだということがわかります。

これらの要素を組み合わせることで、NPO法人は社会的な使命を達成しながら収益を上げることができます。

しかし、儲かることが目的ではなく、社会的な貢献を重視することがNPO法人の本質です。

本質を忘れずに、社会のためになるNPO法人の運営を心がけましょう！